Disputes Between U.S. Allies Hinder Indo-Pacific Security Cooperation
South Korea’s announcement that it will not renew an information-sharing agreement with Japan when it expires in November complicates the ability of the United States to continue its trilateral security cooperation with both countries, a senior Defense Department official said.
軍事情報包括保護協定(GSOMIA)は民間企業で言えば秘密保持契約(NDA)のようなものですが、これを正当な理由なく破棄した場合に破棄の撤回というのは可能なんでしょうか 。民間なら出禁では?
シュライバー米国防次官補の発言
韓国のGSOMIA破棄通告(2019年08月23日)に関してシュライバー米国防次官補が同28日の米戦略国際問題研究所(CSIS)の講演で言及したことは各紙で報じられましたが、これに関連して、「米同盟国間の不和はインド太平洋安全保障戦略を阻害する」と題した記事が米国防省の公式ページで公開されています[1]
注目されるのは、日韓GOSMIA破棄が2国間(bilateral)問題ではなく、インド太平洋安全保障戦略[2]の枠組みを前提とした日米韓3か国の安全保障協力(trilateral defense cooperation)の問題として論じられていることです(同講演についてのCICSによる別記事は[3])。
Trilateral defense cooperation、これが一般名詞じゃなくてTrilateral Information Sharing Agreement (TISA) 、すなわち日米韓情報共有協定を基礎とする枠組みを指していることは明らかですよね…😰
ポイントとなる発言は以下のとおり。
- 政治的な不協和を理由に、我々の協力関係及び将来に向けての議論がそっちのけにされたことに驚いた。
- GSOMIAによってこそ、日韓は米国の仲介無しに速やかに機密を含む安全保障に関する情報を直接に共有可能となる。
- 非常に複雑な安全保障環境にあって情報共有は時間の勝負であり、ミサイル発射の兆候を把握した場合に(日韓GSOMIA無しに米国を介した)面倒な情報共有手続きなどやっていられない。
- 韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相はGSOMIA破棄撤回の可能性を示唆したが、もし破棄が撤回されなければ米日韓の安全保障協力体制が損なわれることになる。
- 日韓の協定が破棄された場合、唯一の勝者はその敵対する国である。
- 我々3か国の関係は(一時的な障害があっても)修復可能なものであり、安全保障上共通の目的を共有している。
- 3か国安全保障協力(trilateral defense cooperation)は時の試練を耐え安全保障上の課題を解決してきたし、将来にわたってもそのようにあるべきである。
さて、CSISの講演録を見ると、もう少し突っ込んだ話をしていたようですね(第11回日米韓防衛実務者協議[4]に言及するなど)。大丈夫なのかな?(あまり大丈夫な気がしないけど…)
References
[1] U.S. Department of Defense (2019.08.28) DOD Official: Disputes Between U.S. Allies Hinder Indo-Pacific Security Cooperation(EN | Google翻訳)
[2] 防衛研究所(2019) 東アジア戦略概観 2019. 第1章「インド太平洋概念」とオーストラリア・インド(日本語 |EN)
[3] Center for Strategic & International Studies (2019.08.28) The Importance of U.S.-Japan-Korea Trilateral Defense Cooperation(EN | Google翻訳)
[4] 防衛省(2019.05.09) 第11回日米韓防衛実務者協議(DTT)共同ステートメント(仮訳 | EN)