インド太平洋戦略成立の経緯
インド太平洋構想の経緯については複数の見方があるようですが、Lavina (2016)[1]は、2012年に安倍首相が Project Syndicate[2]に寄稿した Asia’s Democratic Security Diamond [3] がそもそもの端緒だとしています。
この構想 — 日米豪印でかたちづくるいわゆる「セキュリティダイヤモンド構想」が、米国のFOIP (Free and Open Indo- Pacific)に発展し、ASEANのAOIP (Asean Outlook on Indo-Pacific)として結実したとする説です。ざっと調べたところ、異説が無いわけではありませんが、本説がほぼ通説だと考えて良さそうです・
当時の国際枠組み
アジア太平洋(日米豪)の枠組みにインド(印)を加えるアイディアについて当時の議論を探してみたところ、三井物産戦略研究所の新谷氏が2014年にとてもわかりやすい論文を公表していらっしゃいました[4]。同論文には、「アジアにおける地域協力ネットワーク」と題して、ASEAN(さらにプラス3、プラス6 = RCEP)、APEC、TPP、SAARC(南アジア地域協力連合)、IORA(環インド洋連合)の見取り図(Fig 1)が丁寧に解説されています。基礎知識としてこの図は頭に入れておいて損は無いでしょう(*)。
(*) ほんとうはこれに TICAD も加えたいところですが😅
Fig 1: アジアにおける地域協力ネットワーク(新谷, 2014)
Source: 新谷 (2014) [4]
現在のメンバー
なお、ネットワークの構成メンバー国・地域にはその後変動がありましたので、2019-11-26時点の情報でアップデートしました(*)(Fig 2)。
この図のデータに各国首都のGPSデータを加えたデータのCSVファイルは Member Country List [4 KB] からダウンロードできます。
(*) アップデートは、Table 1 の情報に基づいています。
Fig 2: 地域協力ネットワークメンバー国・地域(2019-11-26現在)
APEC: アジア太平洋経済協力; ASEAN: 東南アジア諸国連合; APT: ASEAN+3; RCEP: ASEAN+6; IORA: 環インド洋連合; SAARC: 南アジア地域協力連合; TPP(環太平洋パートナーシップ協定)
APEC(アジア太平洋経済協力) (EN|Google翻訳)
ASEAN(東南アジア諸国連合) (EN|Google翻訳)
APT (ASEAN+3) (EN|Google翻訳)
RCEP (ASEAN+6) (JA)
IORA(環インド洋連合) (EN|Google翻訳)
SAARC(南アジア地域協力連合) (EN|Google翻訳)
TPP(環太平洋パートナーシップ協定) (JA)
References
[1] Lee, Lavina (2016). Abe’s Democratic Security Diamond And New Quadrilateral Initiative An Australian Perspective. Journal of East Asian affairs, 30 (2), pp.1-41. (Google翻訳)
[2] Project Syndicate (Google翻訳)
[3] ABE, Shinzo (2012). Asia’s Democratic Security Diamond. Project Syndicate, (2012-12-27) (Google翻訳)
[4] 新谷大輔 (2014). 中国の影響力拡大を反映する広域経済連携. (2014-12-08)