安全保障貿易管理
今回の韓国向け輸出管理の運用見直しについては経済産業省(METI)が大韓民国向け輸出管理の運用の見直しについて(METI)で、これまでの経緯(ニュースリリース、Tweets)も含めて詳しく説明しています。すごくわかりやすいので、復習用におすすめです。
基本的な枠組み
安全保障貿易管理の基本について、安全保障貿易管理の概要(METI)に詳しい解説があります。
この制度は、先進国を中心とした国際的な枠組み(国際輸出管理レジーム)に基づくもので、原子力供給国グループ(NSG)、ザンガー委員会(ZC)、オーストラリア・グループ(AG)、ミサイル技術管理レジーム(MTCR)、ワッセナー・アレンジメント(WA)5つのレジームで構成されており、韓国はこれらレジームのすべてに参加しています(国際輸出管理レジーム参加国一覧表)。
制度の概要
安全保障貿易管理制度は、リスト規制、キャッチオール規制、積替規制、仲介貿易取引規制の4カテゴリーで構成されています。これらのうち「キャッチオール規制」と「積替規制」については、ホワイト国か否かで取扱が変わります。
したがって、キャッチオール規制及び積替規制の適用が除外されるという恩恵は、ホワイト国除外に従い受けられなくなります。
- リスト規制(ホワイト国を含むすべての国が対象)
- 輸出貿易管理令(輸出令)が定める一定の貨物・技術は、輸出先・提供先がいずれの国であっても事前に経済産業大臣の許可を受ける必要がある。
- キャッチオール規制(ホワイト国は対象外)
- 積替規制(ホワイト国は対象外)
- 輸出貿易管理令(輸出令)が定める一定の貨物する貨物のうち、日本以外の地域を仕向地とする船荷証券により運送されたものを輸出しようとするときは、許可が必要。
- 仲介貿易取引規制
- 外国相互間の貨物の移動を伴う売買借、贈与については、事前に経済産業大臣の許可が必要になる場合がある。
キャッチオール規制の対象品目
キャッチオール規制の対象は、関税定率法別表の第25類から第40類まで、第54類から第59類まで、第63類、第68類から第93類まで又は第95類に該当する品目です(16項貨物・キャッチオール規制対象品目表 [PDF 320kB])。
WTO | GATTとの関係
安全保障貿易管理制度は国際輸出管理レジームに基づく制度であり、そもそもGATT/WTOとは関係がない(抵触し得ない)と言えそうですが、抵触するかどうかについては否定説、肯定説の両論があるようです。
- 抵触しないとする説
- 誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」(細川昌彦, 日経ビジネス 2019年07月03日)
- 抵触する可能性があるとする説
- 日本政府は韓国の輸出規制を再考すべきだ(川瀬剛志, 東洋経済 ONLINE 2019年07月13日)
韓国向け輸出管理の運用見直し [1] | [2]