「在り方」に示された方向性
前のページ(4)で紹介した「今後の子供の貧困対策の在り方について」[16](以下「在り方」)では、(1) 教育の支援、(2) 生活の安定に資するための支援、(3) 保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援、(4) 経済的支援の4つの支援分野ごとの取組の方向性を示しています(Table 1)。
これらの対策は、これも前の方のページ(3)で紹介した報告書[8]の52ケースの概要表(外部リンク)と突き合わせて見るれば、何を意図したものかその狙いが納得できると思います。
Table 1: 「在り方」に示された分野ごとの取組の方向性
- 教育の支援 幼児教育・保育 スクールソーシャルワーカーが機能する体制づくりを始めとした、地域に開かれた学校プラットフォーム
- 放課後児童クラブ
- 高校進学後の支援
- 大学等の進学支援
- 教育費負担の軽減
- 地域における学習支援等
- 生活の安定に資するための支援
- 親の妊娠・出産期、子供の乳幼児期における支援
- 食の支援及び食育の推進
- 子供の居場所づくりに関する支援
- 子供の就労に関する支援
- 住宅に関する支援
- 児童養護施設退所者等に関する支援
- 保護者に対する職業生活の安定と向上に資するための就労の支援
- 職業生活の安定と向上のための支援
- ひとり親の就労支援
- ふたり親の就労支援
- 経済的支援
- 子供のいる世帯の経済的支援
- 支援対象世帯の把握
Source: 今後の子供の貧困対策の在り方について [16], pp. 5 – 12
子ども食堂
最近、子ども食堂(Goolge検索)の広がりについて耳にする機会が増えています。実はこの投稿を書こうと思った直接のきっかけも、ラジオで耳にした子ども食堂のニュースでした。これは「在り方」に当てはめて言えば、概ね3.以下の「食の支援及び食育の推進」や「子供の居場所づくりに関する支援」に該当する民間での取り組みになるかと思います。
もちろん、子ども食堂に限らず我々の力で行える支援はたくさんあり、実際に支援に取り組んでいる個人・団体も数多くあり、逆にどうやって協力したら良いのか迷うほどですが、子どもの未来応援プロジェクト(内閣府)のウェブページで全国の取組事例(外部リンク)が紹介されているので、ここを見るといまどのような取り組みが行われているかをざっと知ることができて便利です。
このウェブページで紹介されている団体は、「子どもの未来応援基金」(外部リンク)の支援を受けている団体ですので、もちろんこれですべての活動が網羅されているわけではありませんが、情報が整理されているので「とっかかり」として利用されると良いと思います。
次回は、子どもの貧困を放置すると世の中がどうなってしまうのかについて、整理したいと思います[17]。
[8] 社会的排除にいたるプロセス ~若年ケース・スタディから見る排除の過程~ (2012年09月, 内閣官房/内閣府) [PDF 670 KB](再掲)
[16] 今後の子供の貧困対策の在り方について(令和元年8月, 子供の貧困対策に関する有識者会議) [PDF 386 KB](再掲)
[17] 子どもの貧困の社会的損失推計 (2015年12月, 日本財団, UFJリサーチ&コンサルティング)[PDF 2 MB]