ラーメン二郎で不足する栄養
ラーメン二郎の栄養素に関する文献値
第1回で紹介したこの街の空にも星は輝く (2005)[1]を基にGGCSにおいて算出した値とYokokawa et al.(2013)[2]で推定されている栄養成分の構成を比較すると、 Table 1 のように、比較的良く一致していることがわかります。
項目 | 単位 | 文献1改(*1) | 文献2(*2) |
エネルギー | kcal | 1374 | 1599 |
たんぱく質 | g | 47.1 | 47.5 |
脂 質 | g | 54.4 | 107.2 |
炭水化物 | g | 159.4 | 94.7 |
カリウム | mg | 1658 | 1068 |
カルシウム | mg | 97 | 115 |
ビタミンB1 | mg | 0.83 | 1.53 |
ビタミンB2 | mg | 0.44 | 0.41 |
ビタミンC | mg | 20 | 23 |
飽和脂肪酸 | g | 20.4 | 40.5 |
食塩相当量 | g | 3.9 | 4.6 |
(*1) この街の空にも星は輝く(2005) [1]の「スープ」(200 ml / 188 kcal)に対応する日本食品標準成分表の食品番号が無かったため、同表の食品番号 17026「洋風だし」(200 ml / 12.0 kcal)に置き換えた。また、「油脂分」には植物油脂の値が用いられていた(30 ml / 276.3 kcal)ようなので、同じく同表の食品番号 14016「ラード」(29.36 g / 276.3 kcal)に置き換えた。このためエネルギーは出典の値(1549.7 kcal)とは一致しない。
(*2) Yokokawa, J., et al., 2013 [2]
これをご覧になった初学者の中には、「脂質、炭水化物の値が倍/半分のレベルで違うでは無いか!」と反論する方もいらっしゃるかも知れませんが、二郎の「ブレ」を考慮するとこれ以上無いと言って良いほど一致していると言って良いレベルです。
PFCバランス
そこで、上記の値を基に考えるとして、栄養のバランスを考えるときの1つの目安になるのが、PFCバランスです(Protein: たんぱく質、Fat: 脂質、Carbohydrates: 炭水化物)。このPFCバランスについて、それぞれの前述の文献が算出している値は以下のとおりです。
- この街の空にも星は輝く (2005)[1]
- たんぱく質:17.7%
- 脂質:12.9%
- 炭水化物:69.9%
- Yokokawa et al.(2013)[2]
- たんぱく質:11.9%
- 脂質:60.3%
- 炭水化物:27.8%
日本人の食事摂取基準
標準二郎の栄養成分の構成は、素人目にも炭水化物が極端に多い(この街の空にも星は輝く説)か脂質が極端に多い(Yokokawa et al.説)ように見えますが、実際のところどうなのでしょうか?
ひとつのよりどころとして、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準」[3]でPFCバランスの目安を公表しています(Table 2)。これと比較してみると、どんげかせんならんレベルのアンバランスであることは明らかですね…。
Table 2: エネルギー産生栄養素バランス(% エネルギー)抜粋
年齢等 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
1~17(歳) | 13~20(16.5) | 20~30(25) | 50~65(57.5) |
18~69(歳) | 13~20(16.5) | 20~30(25) | 50~65(57.5) |
70以上(歳) | 13~20(16.5) | 20~30(25) | 50~65(57.5) |
Source: 厚生労働省(2014). 日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書 p.63 [3]
おまけ
ジロカロリー算出用データ
自分でどんげかするための参考に、日本食品標準成分表から二郎の食品成分分析に関係しそうなデータを抜粋してをGitHubに置いておきました(Preview | jiro-nutrition-facts.csv [104 KB] )。Excel等に読み込んで暇なときにいろいろやってみると面白いかも知れません。
Pythonで遊ぶ用のJupyter Noterbook
上記のデータファイルを読み込んで遊ぶ用のJupyter Notebookファイルも同じくGitHubに置いてあります(Preview | jiroCalc-01.ipynb [68 KB] )。
たった10行程度のデータなので、どう考えてもExcelで計算したほうが圧倒的に早いですね💦
References
[1] この街の空にも星は輝く (2005). “[雑学] ラーメン二郎のカロリー.” Retrieved November 2, 2019, from http://web.archive.org/web/20100214015412/http://www.mypress.jp/v2_writers/candlib/story/?story_id=1700945[2] Yokokawa, J., et al. (2013). あれは錯覚か!?超人気グルメのぶっちゃけ解剖学, 柴田書店
[3] 厚生労働省(2014). 日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書
ラーメン二郎を堪能しつつ健康を保つには? [1] | [2] | [3]